イギリスの名門メーカー、ロータスの創始者コーリン・チャップマンが開発した軽量スポーツカーの代名詞「セブン」。1973年に製造権をケータハムに譲ったものの、その直系モデルや「ニア・セブン」と呼ばれる類似モデルが現役で生産され続けており、伝説を今なおリアルで確かめられる貴重なモデルである。ロータス及びケータハム・セブンを中心に、このクルマの魅力と楽しみ方を紹介いたします。
かつてロータスが生産し、BMCやフォードエンジンを搭載したセブンには、スタンダードな「ロータス・セブン」とチューンアップされた「スーパーセブン」があり、シリーズ1から最終型のシリーズ4まで3回のモデルチェンジが行われています。現在は中古でしか手に入れることのできないオリジナルモデルは希少だが、類似モデルに比べると程度の良いものが多いです。
しかし、もともとセブンの設計思想は「手軽にいじって遊べる軽量スポーツカー」。さらに部品の多くが他モデルと共通しており、その構造も単純。改造や流用、整備も簡単で、カスタムメーカーやビルダーも国内外に数多く存在している。
このロータス・セブンのDNAを直系で引き継いで開発・生産しているケータハムが、軽ナンバー登録できるブリティッシュスポーツ「ケータハム・セブン160」を日本で発売したのは2015年4月1日。スズキの660cc、3気筒DOHCターボの軽自動車エンジンとエブリィ(!)の5速マニュアルトランスミッションを採用しています。これは世界的な潮流になりつつあるダウンサイジング・エコロジー志向の流れへの対応であり、セブンシリーズの新たなエントリーアイテムとしての位置づけ。
もちろん、運転していてついついにやけてしまうという、スーパーセブンのキャラクターは確実に受け継がれている。ちなみに燃費は当然のことながら、セブンシリーズの史上最高をマーク。受注状況も好調なようで、もともと規模の大きくないケータハム社ではあるが、今なお予約待ちのユーザーもいるという。
さすがにケータハム・セブンの480/620のようなグーンと腹に響く感じの中速トルク感や、どこまで引っ張れるのかと思わせてくれる3速ギアの伸び、セブンの代名詞でもある凶暴とも思える排気音などは影を潜めているものの、熟成されたスズキターボエンジンの必要十分なトルク感と、エンジンパワーを使いきれる楽しさが好評。
セブンシリーズをひと言でいえば、「いい大人がハマるオモチャ」である。けっして高級ではないが、こだわりと楽しさに満ちたドライビング&コミニケーションツール、それがセブンイズムの根幹です。ファントゥドライブ、そしてファントゥタッチ。スーパーセブンシリーズはコレクターアイテムとして保存するより、ぜひライドカーとして能動的に楽しみたいところですね。